実験1.目的:猿実験緑内障眼の網膜におけるHSPの発現について検討した。 結果:神経保護に関するHSPであるHSP-90、60、27は緑内障網膜で発現が高度に亢進した。 またHSP-70も中等度に発現が亢進した。一方、細胞外マトリックスに関与するHSP-47の発現はほぼ不変であった。以上の結果は免疫染色の濃度をZeissのソフトを用いて解析し、有意差検定を行い、確認した。これらの結果は論文1:Immunolocalization of heat shock proteins the retina of normal monkey eyes and monkey eyes with laser-induced glaucoma (Japan J Ophthalmol) 2003:47:42-52.で報告した。 実験2.目的:猿実験視神経乳頭におけるHSPの発現について次に検討した。 結果:視神経乳頭では網膜とは逆に実験緑内障猿眼では神経保護に関するHSPは全て発現が減少した.一方、細胞外マトリックスの修復に関係するHSP-47は逆に発現が亢進した。また、免疫染色で確認したこれらの結果は同様にZeissのソフトを用いた画像解析を行い、有意差検定を行い、確認した。次にHSP-70とHSP-47についてはmRNAの発現をみる目的でin situ hybridizationを行った。免疫染色の結果と同様にHSP-70は発現が低下し、一方HSP-47は亢進していた。この結果は2003年のアメリカの学会での講演発表に採用され、現在投稿準備中である。 以上の結果より実験緑内障の発症進行にHSPが関与しており、網膜と視神経乳頭ではその拳動が異なっていることが分かった。今後これらのHSPの発現をコントロールする薬剤が緑内障の研究さらには治療へと結ぶつく可能性を検討する予定である。
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