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2001 年度 実績報告書

細胞内カルシウム動員系による網膜神経原基細胞の増殖制御

研究課題

研究課題/領域番号 13671850
研究機関奈良県立医科大学

研究代表者

山下 勝幸  奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (20183121)

研究分担者 杉岡 美保  奈良県立医科大学, 医学部, 助手 (90322370)
キーワードカルシウムイオン / 網膜 / 神経上皮 / 細胞周期 / 小胞体 / 核膜 / カルシウム動員 / 容量性カルシウム流入
研究概要

細胞内カルシウムイオンは細胞増殖過程における重要な制御シグナルである。我々はリアルタイム共焦点レーザー蛍光顕微鏡を網膜神経層に適用し、その光学的断層像からATP受容体の活性化によるカルシウム動員、及び、容量性カルシウム流入が、細胞周期のどの時期で起こるかを同定することを試みた。網膜神経層の外層にはM期細胞とS期細胞の外側突起が存在し、内層にはS期細胞の細胞体が存在する。そこで、発生初期の鶏胚から網膜神経層を単離して網膜フラット標本を作製し、網膜神経上皮のどの高さの細胞でカルシウム濃度上昇が生じるかを解析した。その結果、ATP受容体の活性化による細砲内カルシウム濃度上昇は、内層の細胞体の核内で顕著に生じた。即ち、S期細胞の細胞体の核内にカルシウムイオンが流入することが明らかになった。M期細胞ではカルシウム濃度上昇が見られなかった。細胞内カルシウムストアを枯渇させ容量性カルシウム流入を誘起した場合、S期細胞の核内、及び、外側突起終末部でカルシウム濃度上昇が見られた。S期細胞の細胞内カルシウムストアの分布を、小胞体の蛍光プローブ、及び、蛍光タプシガルギンを用いて調べたところ、S期細胞の外側突起、及び、その終末部に小胞体カルシウムストアが存在し、さらに核膜が小胞体とともにカルシウムストアの一部を形成していることが明らかになった。これらの結果から、外側突起内に存在する小胆体カルシウムストアは容量性カルシウム流入によってカルシウムイオンが充填され、カルシウム動員によって放出されたカルシウムイオンは外側突起から核膜を通過して核内に流入することが示唆される。網膜器官培養系での実験からトリチウムチミジンの取り込みにカルシウム動員と容量性カルシウム流入が必要であることをすでに確認しており、S期細胞の核内に流入するカルシウムシグナルはDNA合成の制御に関与すると思われる。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] 杉岡美保: "網膜組織形成とATP受容体"生体の科学. 52・2. 145-151 (2001)

  • [文献書誌] 山下勝幸: "網膜発生における細胞周期とカルシウム動員"Molecular Medicine. 39・別冊. 2-7 (2002)

  • [文献書誌] 杉岡美保: "網膜発生過程におけるカルシウム応答性の変化"Molecular Medicine. 39・別冊. 73-79 (2002)

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公開日: 2003-04-03   更新日: 2016-04-21  

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