1.先天色覚異常者におけるLED式道路交通信号灯色の見え方について、LED式および電球式信号灯のシミュレーション装置を試作し、色覚正常者5名、先天色覚異常者18名に対し検査を施行した。その結果、先天色覚異常者では11名(61.0%)に誤答がみられた。誤答率は赤および黄で、電球式に比べてLED式で高い傾向がみられた。 2.色覚正常者5名と先天色覚異常者51名に対し、3色表示LEDディスプレイの文字色の色弁別能検査を施行し、パネルD-15テストの結果と比較した。先天色覚異常者では51名中46名(90.2%)に誤答がみられ、パネルD-15テストpass群と比較してfail群で誤答が多かった。 3.先天色覚異常者における、色チョークで黒板上に書かれた文字色の弁別能を検討した。 先天色覚異常者では51名中37名(72.5%)に誤答がみられた。 4.先天色覚異常者16名に対して、8°および10°視野の色票を用いたパネルD-15を施行し、色票を大きくした場合の改善を検討した。その結果、8°では5名(31.3%)、10°では8名(50.0%)に改善がみられた。 5.小学校で使用されている教科書における色表示の、先天色覚異常者における見え方についての評価検討を行った。教科書324冊について調達し、その結果、小学校で使用されている教科書の色表示には先天色覚異常者にとって判別しにくい色の組合せがあることが確認された。
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