研究概要 |
神経芽細胞腫のcell lineを用いて、Insulin-like growth factor I receptor(IGF-IR)抗体(αIR3)と抗癌剤との併用効果を細胞増殖の面より検討した。ヒト神経芽細胞腫のcell lineとしてSK-N-SHを用いた。培養液は10%FBS、2mMグルタミンを含んだDMEMを用い、5%CO_2、95%Air、37℃の条件下で培養した。細胞をtissue-culture plateに植え、24時間後にcisplatin(0.5μg/ml)またはdoxorubicin(0.01μg/ml)にαIR3(0.5μg/ml)を投与し、1、2、3日後に細胞数をMTT法で測定した。48時間後にapoptosis細胞数および細胞膜IGF-IR数をflowcytometryを用いて測定した。核酸及び蛋白合成の指標としての^3H-thymidineおよび^3H-leucine incorporationを測定した。抗癌剤にαIR3併用群では、投与2,3日目において、それぞれの単独投与群に比し、細胞増殖が有意に抑制された。抗癌剤およびαIR3併用群のapoptosisの細胞数はそれぞれの単独投与群に比し著名に増加した。抗癌剤投与群のIGF-IR数は非投与群に比し著名に増加した。併用群の蛋白合性能は単独群に比し有位に低下した。以上より、抗癌剤とIGF-IR抗体(αIR3)を併用した場合に見られた腫瘍増殖抑制効果は、併用によるapoptosis促進作用を介して発揮されると考えられる。
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