研究概要 |
先天性無神経節症ミュータントの繁殖コロニーを樹立し、S1系及びIs系homozygotesマウスを清潔環境下に維持した上で交配によりhomozygotes胎仔を作成した。摘出した各系統のマウス胎仔を開腹の上、両側坐骨神経を摘出し直ちに10mM HEPES含有のCa, Mg-free冷却HBSS液に入れ、続いて摘出した神経束を0.025%trypsin及び1mg/mL濃度のcollagenase存在下に37℃にて4分間処理し、lmg/mL牛胎仔血清(bovine serum protein)含有L15培養液にてincubationした。さらに、先天性無神経節症マウス口側腸管からの神経堤幹細胞の単離と純化を目的として近位側小腸より腸管壁を採取し、低回転遠心にて浮遊細胞のみを摘出した上で、抗p75抗体および抗pO抗体にて蛍光免疫染色しFACSにてp75+pO-分画細胞を分離することによって細胞種の選別と純化を試みた。単離した細胞は直ちに5%C02存在下に、15%chick embryo extract、20ng/mL human recombinant bFGF、retinoic acid含有DMEM-low培養液にて培養し、得られた細胞について神経系各種成熟細胞への分化誘導能の有無とその確認実験に入った。純化した神経系細胞に、neurofilament, tubulin, acetylcholineesteraseの各コード遺伝子とGFPキメラ遺伝子を作成、プラスミドベクターに組み込んだ上、Lipofectamine2000にて遺伝子導入を試みた。これらの細胞について先天性無神経節症マウスの口側-肛門側無神経節腸管に対する神経堤幹細胞の移植を試み、その一部に神経系細胞の分化ならびに神経突起の形成が認められた。これらの神経系細胞に関する分化と機能に関しては、移植された環境に相関した分化制御の因子が存在し、これらについて、RET、NTNないしGDNFの欠損環境下に分化誘導実験が必要であることが明らかになった。
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