研究概要 |
小児固形腫瘍のなかで最も発生頻度が高く、その予後は今だ予後不良である神経芽腫におけるinhibitor of apoptosis proteinの1つであるsurvineのm-RNAの発現をN-myc増幅との比較してsurvivinの意義を明らかにすることを目的にした。 神経芽腫群腫瘍15症例の摘出検体を用いて、Rnase Protection AssayにてApoptosis関連遺伝子であるSurvivn,Fas,TRAIL-R1&R2,TNF-R,Bc1-2のm-RNAの発現を測定した。 それらの発現と予後およびN-myc増幅との関連を検討した。 その結果、予後不良群である進行症例、再発症例は全例にsurvivineの発現が増強していた。FasおよびTRAIL-R1は予後良好群に発現が認められる傾向であった。N-mycは予後不良症例の7例中4例のみ増幅が認められた。以上の結果よりsurvivin発現はN-myc増幅よりその予後を強く反映していることが明らかになった。 Survivin発現は治療抵抗性にも関与している可能性があり今後の遺伝子治療の標的分子となる可能性がある。平成14年度はヒト神経芽腫細胞株を用いて、神経芽腫におけるsurvivin発現とその機能、特に抗癌剤またはTRAILを中心としたサイトカインを用いたapoptosis導入への関与について検討する予定である。これらの研究によりsurvivinの発現をコントロールする遺伝子治療に発展する可能性がある。
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