研究課題/領域番号 |
13671879
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
亀井 譲 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (10257678)
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研究分担者 |
鳥山 和宏 名古屋大学, 医学部・附属病院, 講師 (40314017)
鳥居 修平 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (60115607)
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キーワード | 大網 / 同種移植 / 皮弁 / マイクロサージャリー / 創傷治癒 / 血管新生 |
研究概要 |
軟部組織欠損の充填術として大網移植は、大網の血管新生や、細胞増殖に富む性質から多く利用されている。これまでにわれわれは、頭蓋底再建、難治性潰瘍、胸骨骨髄炎などに大網移植を行い良好な結果を得ている。また、独自の胃漿膜筋層付き大網の複合弁を開発し、多くの再建に利用してきた。しかしながら、高齢化社会に伴いすでに大網が手術により利用されている場合や、切除により利用できない場合も増えてくる。また、小児に利用する場合は大網をすべて使うことで将来的に腹腔内の免疫防御に支障をきたすことも考えなければならない。これらを解決するために、大網の同種移植は有用な手術となる。本研究は、大網の同種移植を可能にするためのfirst stepとして行われた。 昨年度は、大網を移植する際の阻血限界時間が3〜4時間にあることを報告した。今年度は次の段階として、同種移植を行う際、免疫抑制剤によりリンパ球の機能が抑制された状態で大網が正常に創傷治癒に働くかどうかが問題となるため、リンパ球の働きが抑制されたヌードマウスにおいて、大網が創傷治癒にいかに働くかを検討した。その結果、単純に創傷被覆剤のみで上皮化させた場合に比べて、大網移植群は上皮化するまでに日数は多くかかったが、創傷治癒としては形態学的により正常な形で治癒することがわかった。 本研究で明らかになった、大網の阻血限界時間や、リンパ球の働きを抑制した状態での創傷治癒促進作用は大網の同種移植のためのfirst stepとなり、将来的な大網同種移植術の開発に向けての有益な基礎を確立した。
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