研究概要 |
三次元コンピュータグラフィックスのlighting技法を応用した照明モデルを考案し、顔面形態を検討した。顔面に無限遠点の白色光源を当て、各方向から観察した画像をAdobe Photoshopソフトにより解析する。 光を当てられた隆起部はhighlightとして、陥凹部や光の方向と深い角度のある面はshadowとなり、これにより顔面の輪郭、unit, subunitは明度の強弱により描出された。正面像では、正面からの光により前細部、鼻背から鼻尖、頬部、オトガイ部がhighlightに、側面では外鼻lateral wall、鼻翼、頬部外側がhighlightとなり、鼻背から鼻尖の稜線もshadowとのコントラストにより明瞭となった。斜位では眉毛内側から鼻背へのtopographic curveが明瞭となり、外鼻subunit成分が確認された。側面像では、側方光源により頬部の盛り上がりの稜線が明瞭となり、正面光源により頼部unitの外側縁やbuccomandibular grooveが観察された。一方、安静時と比較した笑顔における変化では、頬部highlight成分は丸みを帯び面積の減少とともに頬部unit内側線角の増大と外側線角の減少を認めた。顔面神経麻痺症例では、頬部unitは外側横下方向へ引っ張られる形となり、鼻背unitの狭小化、鼻翼幅の増大を認めた。そしてこれは手術後の回復過程において健常人patternへと移行する傾向がみられた。これらの変化は、皮膚、皮下脂肪、表情筋といった解剖学的構成成分およびその機能が形態に反映され、視覚的にとらえられたものであり、顔面形態評価法のひとつとなりえるものと思われた。
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