研究概要 |
形成外科が扱う顔面や手の外傷・組織欠損に対する再建術の一つとして,整容的・機能的な再建を行う目的で,遊離組織移植がもちいられる。しかし,従来の皮弁では,ドナーの犠牲が大きく,種々の合併症が報告されてきている。また,広範囲の欠損や顔面頸部・手の機能障害に関しては現時点では再建不可能であり,血行障害を伴った手指の広範な組織欠損において患肢温存は不可能とされている。一方近年では,穿通枝皮弁の導入により,より犠牲の少ない皮弁のドナーが求められてきており,海外では,従来筋皮弁として用いられてきたドナーを,乳房再建をはじめ,穿通枝皮弁にとってかわられようとしている。 本研究では,特に,臨床応用として外側大腿皮弁を用いた下腿再建や穿通枝血管を利用した足指移植、動静脈奇形の治療に対する穿通枝皮弁の利用、さらには最近では高齢者の褥瘡患者に対してより手術侵襲の少ない穿通枝皮弁を開発し適応している。他方、基礎的研究として大腿筋膜張筋穿通枝皮弁の血行に対して詳細な検討を行い、安全に臨床使用が可能な皮弁となった。 本研究計画では,さらに新しい穿通枝皮弁の可能性を追求し,ドナーの犠牲の少ない皮弁の開発を行い,動物実験も行う予定である。
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