研究概要 |
Mycoplasma salivariumのリポタンパク質のN末端の構造をもとに合成したリポペプチドS-(2,3-bispalmitoyloxypropyl)-CGDPKHSPKSF(FSL-1)は正常ヒト歯肉線維芽細胞(HGF)にICAM-1の発現、さらにIL-6,IL-8ならびにMCP-1の産生を誘導した。また、FSL-1は単球系細胞株THP-1細胞を活性化し、TNF-αの産生を誘導した。FSL-1を構成しているS-(2,3-bispalmitoyloxypropyl)-C(Pam_2Cys)あるいはペプチド(CGDPKHSPKSF)部分はこのような活性をしめさなかった。FSL-1のペプチド部分のC末端のPhe残基Argに置換したり、アシル基をパルミチン酸からステアリン酸に置換すると劇的な活性の減弱がみられた。リポペプチドの構造と生物活性の関係を調べるために、マイコプラズマ由来リポペプチドFSL-1とPam_2CGNNDESNISFKEK(MALP-2)、細菌由来リポペプチドPam_3CSNNAとPam_3CSKKKKのTHP-1細胞に対する活性化能を比較した。FSL-1、MALP-2、Pam_3CSKKKKならびにPam_3CSNNAは0.001nMから100nMの濃度範囲で、濃度依存的にTHP-1細胞を活性化し、TNF-αの産生を誘導した。しかしながら、その活性には差がみられ、FSL-1がもっとも強く、MALP-2とPam_3CSKKKKが同程度で、Pam_3CSNNAがもっとも弱かった。
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