研究概要 |
マイコプラズマ(M)由来リポタンパク質(LP)の活性部位であるN末端のリポペプチド(Lpp)の構造をもとに合成したS-(2,3-bispalmitoyloxypropyl)CGDPKHPKSF(Pam2CGDPKHPKSF,以後FSL-1)はLPと同様に歯肉線維芽細胞(HGF)ならびにマクロファージ(Mp)を活性化する。本研究では、種々のLppの構造とMp活性化能について調べた。 細菌由来Lppとして大腸菌由来のS-(2,3-bispalmitoyloxypropyl)-N-palmitoyl-CSSNA(Pam3CSSNA)とPam3CSK4を、M由来LppとしてFSL-1とその誘導体、さらにMALP-2(Pam2CGNNDESNISFEK)を用いた。FSL-1のペプチド部分のC末端PheをArgに変換することにより、さらに、シアシル基のパルミチン酸をステアリン酸に変換することにより、急激なMp活性化能の低下がみられた。このことはペプチドならびに脂肪酸部分の両方がレセプター(R)との結合に関与し、また、ペプチド部分とRは疎水的な相互作用していることを示唆している。HGFならびにMp活性化能の強さはFSL-1>MALP-2>Pam3CSK4>Pam3CSSNAの順であった。N末端のアミノ基がフリーのLppの活性が強く、また、Pam3CSK4>Pam3CSSNAであることから、細菌由来のLppのペプチド部分とレセプターは親水性な相互作用していることを示唆している。
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