研究概要 |
(1)noggin recombinant adenovirus(Ad/hoggin)の作製 まずnoggin遺伝子の強制発現を行うためにnoggin recombinant adenovims(Ad/hoggin)を作製した。すなわちxenopus nogginをcomid vectorに組み込み、COS-TCP法により、リコンビナントアデノウイルスを作製、増幅した。作製したアデノウイルスは1-2 X10^9cf/mlの力価が得られた。C1細胞を用いて活性を調べたところmoi30の濃度で200ng/mlリコンビナントBMP2のALP上昇作用に対して完全な阻害効果を得た。(2)C1細胞はテラトカルシノーマ由来の間葉系幹細胞であり、細胞培養条件によって軟骨細胞、骨芽細胞、脂肪細胞、筋肉細胞にそれぞれ分化の振り分けを行うことができる(Poliard, Nifuji et al., J.CelI Biol, 1995)。特に3次元的な細胞凝集塊を形成させてから分化誘導させることで、均一な軟骨細胞、あるいは骨芽細胞に分化する。そこでまず、C1細胞が未分化な形質を保持している状態で、Ad/hogginを感染させ、それを2つのプールにわけた。まずひとつのプールから細胞凝集塊を形成させたのち、軟骨細胞に分化させ、その軟骨としての表現形質の変化を解析し、コントロール(Ad/LacZを感染させたもの)と比べた。コントロールにおいてはtype II collagen、type X collagen、Sox9などの軟骨特異的な分子の発現が誘導されるのに対し、Ad/nogginを感染させたものにおいてはそれらの発現は抑制された。つぎに、別のプールについては、感染させたのちascorbic acidとbeta Glycerophosphate存在下で骨芽細胞に分化させ、コントロールと分化形質発現の変動の比較をおこなった。Alkaline Phosphataseやosteocalcinなどの骨芽細胞の分化形質に影響は及ぼさなかった。以上の結果から少なくともC1細胞の分化振り分けにおいてはAd/nogginが軟骨特異的に作用することがわかった。
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