研究課題/領域番号 |
13671899
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
吉田 篤 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助教授 (90201855)
|
研究分担者 |
森谷 正之 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (80303981)
永瀬 佳孝 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助教授 (50252698)
|
キーワード | 顎反射 / 両側投射 / 抑制性介在ニューロン / 三叉神経 / in vivo / 細胞内染色 / GAVA / グリシン |
研究概要 |
顎運動の特徴である両側性協調運動に関与する神経機構を解明するため、単一ニューロンの細胞内電位記録・標識法、薬理学的研究法を用いて以下の結果を得た。 1)三叉神経吻側核(Vo. r)ニューロンをNbで標識したところ、両側の三叉神経運動核(Vmo)の中の閉口筋運動核に投射するもの(biVo. r-dlニューロン)と、両側の開口筋運動核に投射するもの(biVo. r-vmニューロン)が存在した。 2)これらのbiVo. r-dlニューロンとbiVo. r-vmニユーロンは、歯根膜または歯肉の低閾値機械刺激に、応答した2次ニューロンであった。 3)閉口筋筋紡錘の感覚を伝えるbiVo. r-vmニューロンも存在した。 4)口腔内の電気刺激により、両側の開口筋運動ニューロンにはdisynaptic EPSPのみでなく、disynaptic IPSPが誘発された。 5)口腔内の電気刺激により、両側の閉口筋運動ニューロンにはdisynaptic IPSPのみでなく、disynaptic EPSPが誘発された。 6)両側の開口筋運動ニューロンおよび閉口筋運動ニューロンに誘発されたIPSPは、glycinergicおよびGABAergicな2次ニューロンを介するものであった。 本年度の上記の研究により、両側性協調運動を特徴とする顎運動には2次ニューロンの両側性投射が重要な働きを成していること、特に、これまで全く不明であった抑制性の両側性支配機構の一端を解明する事ができた。この結果は、顎運動は脊髄系の運動とは全く異なる神経機構で制御されていることを意味しており、今後の研究によってその差違とその生物学的意義が解明されねばならない。
|