2002 年度実績報告書

石灰化球とその形成に関与する非コラーゲン性蛋白質の分析学的及び免疫組織学的研究

研究課題

研究課題/領域番号	13671914
研究機関	日本大学
研究代表者	三島弘幸日本大学, 松戸歯学部, 講師 (30112957)
キーワード	球状石灰化 / プロテオグリカン / 石灰化球 / 結晶の配向性 / コラーゲン線維 / 成長線 / 歯冠象牙質 / 歯根象牙質
研究概要	石灰化球の発達や分布に種差が見いだされた。有袋類オポッサムでは歯頸部周囲のみに石灰化球がよく発達していた。ヒト歯根部の根尖側では石灰化球は認められず、石灰化したコラーゲン線維が観察された。爬虫類ワニでは、石灰化球の大きさは哺乳類のものより小型であり、表面に線維状の形態が観察された。2生歯性のヒト、ウシ、オポッサムの石灰化球のCa/P比において歯冠部と歯根部で有意の差が見出された。無根歯のラットやウサギ、あるいは多生歯のワニではCa/P比に差異が見出されなかった。歯の形成機構の違いが石灰化球の形態形成に関与すると考察される。石灰化球の形成には、カルシウムやリンの主要な元素以外の微量な元素が重要な役割を持つことが分析電子顕微鏡の観察から明らかになった。そのうちSの局在は石灰化球中に非コラーゲン性蛋白質であるプロテオグリカンの存在を意味すると考察される。ワニの石灰化球は小さく、歯頸部から歯根部にSが分布していた。プロテオグリカンはコラーゲン線維形成に関与し、さらにCaと親和性があることから、石灰化球の形成を制御すると考察された。顕微レーザーラマン分光法において、タイプIコラーゲンに起因するラマンスペクトルが検出された。しかし、非コラーゲン蛋白質に起因するラマンスペクトルはまだ見いだされなかった。石灰化球形成におけるプロテイオグリカンの関与に関して、現在免疫組織化学的手法を用いて引き続き検索中である。X線回折法において、歯冠象牙質では無配向であった。エナメル質が覆う象牙質では結晶の配向性が球状石灰化により不規則になると考察される。歯根象牙質では配向性が認められた。舌側象牙質では成長線が明瞭に認められ,結晶の配向は成長線の方向やコラーゲン線維の配列と平行であった。ワニの歯では、歯冠部では成長線が明瞭であり,結晶の配向性が認められた。その方向は成長線に平行であった。結晶の配向はコラーゲン線維の方向や石灰化球の構造に制御されると考察される。歯の形成機構、象牙芽細胞の形態や活性、あるいは象牙前質の微小環境が石灰化球の形態及び化学組成、石灰化様式、基質線維の方向性、結晶の配向性を決定すると示唆された。

研究成果
(7件)

すべてその他

すべて文献書誌 (7件)

[文献書誌] 大久保厚司: "糖尿病により口腔インプラント長期経過に伴い撤去に至った-症例-全身疾患の発症と増悪を予知するための血液検査の必要性-"日本歯科先端技術研究所学術会誌. 8・2. 64-69 (2002)
[文献書誌] Takashi Ozaki: "Incremental lines in the dentin of Alligator teeth before and after haching"Nihon University. Journal oral Science. 28・2. 143-151 (2002)
[文献書誌] 大久保厚司: "Ti, Ti 合金インプラント埋入側の口腔底に扁平上皮癌を観た一例-インターネットで検索するTi, Ti合金による癌化の可能性-"日本歯科先端技術研究所学術会誌. 8・3. 118-125 (2002)
[文献書誌] Nagai, M.: "Invitro study of collagen coating of titanium implants for intial cell attachment"Dental material Journal. 21・3. 250-260 (2002)
[文献書誌] 大久保厚司: "管理された糖尿病患者の上顎インプラントの長期経過観察"日本歯科先端技術研究所学術会誌. 8・4. 154-160 (2002)
[文献書誌] H.Soeda: "Functional characterization of calcium channels localized on the growth cones of cultures rat root ganglion cells"Neuroscience Letters. 325 2002. 5-8 (2002)
[文献書誌] Takeru Akazawa: "Neanderthal Burials Excavations of the Dederiyeh Cave Afrin, Syria"University of Tokyo Press Production Center. 394 (2002)

2002 年度 実績報告書

石灰化球とその形成に関与する非コラーゲン性蛋白質の分析学的及び免疫組織学的研究

研究代表者

三島 弘幸 日本大学, 松戸歯学部, 講師 (30112957)

研究成果

[文献書誌] 大久保厚司: "糖尿病により口腔インプラント長期経過に伴い撤去に至った-症例-全身疾患の発症と増悪を予知するための血液検査の必要性-"日本歯科先端技術研究所学術会誌. 8・2. 64-69 (2002)

[文献書誌] Takashi Ozaki: "Incremental lines in the dentin of Alligator teeth before and after haching"Nihon University. Journal oral Science. 28・2. 143-151 (2002)

[文献書誌] 大久保厚司: "Ti, Ti 合金インプラント埋入側の口腔底に扁平上皮癌を観た一例-インターネットで検索するTi, Ti合金による癌化の可能性-"日本歯科先端技術研究所学術会誌. 8・3. 118-125 (2002)

[文献書誌] Nagai, M.: "Invitro study of collagen coating of titanium implants for intial cell attachment"Dental material Journal. 21・3. 250-260 (2002)

[文献書誌] 大久保厚司: "管理された糖尿病患者の上顎インプラントの長期経過観察"日本歯科先端技術研究所学術会誌. 8・4. 154-160 (2002)

[文献書誌] H.Soeda: "Functional characterization of calcium channels localized on the growth cones of cultures rat root ganglion cells"Neuroscience Letters. 325 2002. 5-8 (2002)

[文献書誌] Takeru Akazawa: "Neanderthal Burials Excavations of the Dederiyeh Cave Afrin, Syria"University of Tokyo Press Production Center. 394 (2002)

2002 年度実績報告書

三島弘幸日本大学, 松戸歯学部, 講師 (30112957)