妊娠ラット(10匹)を用いて、ビスフェノールAを体重1kgあたり10mg、50mg、100mg、500mgの割合で妊娠13日から19日まで、また、出産後3日目から20日目までの計25日間にわたり1日1回強制経口投与し、新生仔の歯や顎骨ならびに雄性生殖器の発生・成長に対する影響を検討し、以下の結果を得た。 1)新生仔(生後21日目)の体重は、対照群ではオスが大きく、実験群では50mg群以外のすべての群でメスが大きな値を示した。しかし、その差は有意ではなかった。 2)新生仔の両側精巣重量は、10mg群が最も大きく、次いで50mg群、対照群、100mg群の順で大きく500mg群が最も小さかった。10mg群と50mg群の差は有意でなかったが、他の群間には有意差が認められた。また、精巣内に設定された各区画における精子細胞の数は、10mg群が最も多く、次いで50mg群、対照群、100mg群の順で多く、500mg群が最も少なかった。差の検定の結果、10mg群と50mg群との間を除いた他の全ての群間に有意差が認められた。 3)頭部軟X線像では、顕著な成長障害や石灰化異常は認められなかった。また、左側下顎骨長は、雌雄とも10mg群が最も大きく、次いで50mg群、対照群、100mg群の順に大きく、500mg群が最も小さかった。しかし、いずれの群においても有意な性差は認められなかったが、100mg群と500mg群においてメスがオスより大きい値を示した。 4)マイクロCT装置による第一臼歯歯胚の体積は、500mg群を除いた他の全ての群でオスがメスより有意に大きい値を示した。また、各群間の比較においては、メスよりオスにおいてより強い差が認められる傾向にあった。
|