研究概要 |
口腔領域の乳頭腫(8例),疣贅癌(17例),そして過角化症(14例)の切片をオートクレーブ処理し,FITC標識histone H3 mRNA DNAプローブで反応させたのち,alkaline phosphatase標識抗FITCで二次反応,また抗p53 protein抗体で一次反応し,LSAB法とAECを使ってp53 proteinの局在を,またBICP/NBTを使ってhistone H3 mRNAの局在をしらべた。その結果,histone H3 mRNAとp53 proteinの二重染色では,過角化症ではhistone H3 mRNAtとp53 proteinそれぞれ陽性細胞がみられたが,両陽性細胞は観察されなかった。また,乳頭腫ではhistone H3 mRNAtとp53 proteinの両陽性細胞も観察されたが,基底細胞層に限局してた。そして疣贅癌ではhistone H3 mRNAtとp53 proteinの両陽性細胞が過角化症や乳頭腫と比較して増加し,基底細胞層や棘細胞層に局在が認められた。 他の切片で,抗cyclin D1,抗cyclin D3,抗cyclin B1の一次反応,そしてLSAB法とDABを使ってそれぞれの各種cyclinの局在を観察した。その結果,過角化症では各種cyclinの陽性細胞が基底細胞層に少しみられた。また,乳頭腫では各種cyclinの陽性細胞は基底細胞層に限局してた。そして疣贅癌では各種cyclinの陽性細胞が過角化症や乳頭腫と比較して増加し,基底細胞層や棘細胞層へと広い局在が認められた。なお,cyclin D1,D3は核にまた,cyclin B1では細胞質に陽性所見が認められた. 次に,ラットの口唇にDMBA塗布による実験的扁平上皮癌の場合,human histone H3 mRNAの基底細胞層,棘細胞層に相当する部位で陽性所見を認めた.
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