研究課題/領域番号 |
13671937
|
研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
小橋 基 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (80161967)
|
研究分担者 |
塚本 剛一 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (40263610)
松尾 龍二 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (30157268)
|
キーワード | アポモルフィン / 胃運動 / 迷走神経 / 顎下腺 / 唾液分泌 / ラット / 嘔吐 / 悪心 |
研究概要 |
自律現象を指標として嘔吐・悪心の中枢機構を解明するために本研究を計画した。本年度はラットを用い、催吐性刺激により一定の自律現象が見られるかどうかを明らかとするために催吐剤であるアポモルフィン由来の胃運動応答と顎下腺唾液分泌を解析した。 アポモルフィンの静注により用量依存性の胃運動抑制が生じ、引き続き緩やかな内圧亢進と収縮頻度の亢進が生じた。これらの特異的応答は最後野の吸引除去、ドンペリドンの静注もしくは最後野上への滴下によって前処置することにより消失した。また、両側頸部迷走神経切除によりアポモルフィン由来の胃運動変化は見られなくなった。以上の結果から、アポモルフィン由来の胃運動応答は最後野のD-2受容体にアポモルフインが作用し、迷走神経を遠心路として発現する応答であると結論づけられた。さらに、アポモルフィン静注による顎下腺唾液分泌を観察した。アポモルフィンの静注で、著明な顎下腺唾液分泌が見られた。この唾液分泌は同側鼓索神経切断、最後野吸引除去もしくはドンペリドンの静注により消失した。従って、この分泌応答は胃運動と同様に最後野のD-2受容体にアポモルフィンが作用し副交感神経を遠心路として発現する応答であると考えられる。 以上からラットで、アポモルフィン由来の胃運動の特異的運動パターンと顎下腺唾液分泌を指標とした解析を行うことが可能になった。ただし、胃運動応答は比較的低濃度(0.001〜0.1mg/kg)のアポモルフィンの複数回投与に対して再現性良く応答を示すのに比して、顎下腺唾液分泌は高濃度(10mg/kg)の投与でしか誘発されず、また同一動物に対する再度の投与には充分は分泌を示さないことから、胃運動の解析の方が比較的容易に解析可能である。次年度は、NK-1受容体のアンタゴニストの作用と中枢での作用部位を胃の特異的運動応答を指標として解析する計画である。
|