研究課題/領域番号 |
13671940
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
機能系基礎歯科学
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
細井 和雄 徳島大学, 歯学部, 教授 (10049413)
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研究分担者 |
津村 恵子 徳島大学, 工学部, 教務員 (50127841)
赤松 徹也 徳島大学, 歯学部, 助手 (80294700)
金森 憲雄 徳島大学, 歯学部, 助教授 (90064865)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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キーワード | アクアポリン / トラフィッキング / VIP / SDラット / 十二指腸 / ブルナー腺 / 遺伝的変動 |
研究概要 |
本研究では主として唾液腺をはじめとする外分泌腺において水輸送蛋白質、アクアポリン(AQP)の発現調節、機能調節を細胞生理学、分子生理学的に明らかにすることを目的とした。 1.ラット下部胃および十二指腸において外分泌腺型AQPであるAQP5が発現していることを初めて明らかにした。AQP5は下部胃においては基底側陰窩の上皮細胞に、また十二指腸においてはブルーナー腺に発現する事を見いだした。凍結切片の蛍光抗体による免疫組織化学染色ではいずれの場合もAQP5は主として腺腔側膜に局在した。より緩和な固定を行いABC法により観察するとブルーナー腺ではAQP5は一部細胞内の分泌顆粒膜に局在した。十二指腸スライスをin vitroにおいてvasointestinal polypeptide(VIP)とインキュベートした後、腺腔側膜を調製し、ウェッスタンブロッテイングによって調べると腺腔側膜AQP5は増加し、VIP(100nM)投与2分後に最高値(対照の2.3倍)となった。In vivoの実験において、VIP(40μg/kg)投与はブルーナー腺の分泌顆粒の内容物を放出し、腺腔側を拡大した。同時に腺腔側膜には無刺激コントロールに比してAQP5の強い免疫反応が認められた。これらIn vivo、in vitroの変化はAQP5では顕著であったがAQP1では認められなかった。VIPは十二指腸ブルーナー腺におけるAQP5のトラフィッキングを惹起させるがAQP1については大きく影響しないと考えられた。 2.正常SDラット唾液腺(顎下腺)のAQP5蛋白質発現レベルを調べた所、高発現ラットおよび低発現ラットが存在する事を見いだした。2種のラットを近交化する目的で兄妹交配を進め、現在高発現ラットは8代目に、また低発現ラットは4代目に到った。これらのラットでは発現レベルの差は100倍以上に達した。AQP5蛋白質発現レベルの差は耳下腺、肺、涙腺においても認められたが、AQP5mRNAレベルはいずれの臓器においても両グループ間で差はなかった。したがって、上記2グループ間で認められたAQP5蛋白質発現レベルの差異はAQP5遺伝子あるいはそのプロモーターに発生した遺伝的変異に基づくものと考えられた。現在、両ラットよりPCRクローニングしたAQP5遺伝子の変異の存在を検討中である。また、今後、近交系を確立し、それらの生理学的パラメーターを調べ、もってAQP5の生理機能を究明する。
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