研究概要 |
Osteoclast zinc finger gene(OCZF)は筆者らが破骨細胞のcDNAライブラリーから単離した遺伝子がコードするPOZ-Znフィンガー型転写因子である。 (1)OCZFの転写促進活性の解析 OCZFの転写活性について、NFkappaBの結合配列を有するレポータープラスミドを用いて転写活性を測定した。OCZFはこの転写活性を強力に促進したが、ゲルシフトアッセイの結果、OCZFによるDNA結合活性の増強は見られなかった。OCZFはこのレポータープラスミド中の結合配列の特殊な配列を認識し転写活性を上昇させることが考えられ、現在解析中である。ODFの下流には細胞周期に関わる因子であるcyclin-dependent kinase(CDK)インヒビター遺伝子p21が発現誘導されることが報告されている。そこで次に、p21,p27等のプロモーターを有するレポータープラスミドを用いてLuciferase assayにより、OCZFのこれらの転写への影響を調べた。OCZFはこれら遺伝子の転写を強力に促進することを見出した。さらにこれらのプロモーターのdeletion mutantを用い、OCZFの転写活性に関与するプロモーター領域に関して解析を行った。 (2)OCZFの発現解析 RANKLの添加により破骨細胞に分化するマウスマクロファージ細胞株RAW264.7のサブクローンRAW-Dを用いて、OCZFに対するポリクローナル抗体を用いたimmunostainingにより、OCZF蛋白質の発現について調べた。OCZFは、単核の細胞では核の一部分に局在するが、分化した多核の破骨細胞においては細胞質と核の両方に高い発現があることがわかった。さらに、OCZFのPOZdomainをプローブとして用いて、in situ hybridization法を用いて発現の解析を行った結果、関節炎のラット組織中の破骨細胞において特異的に発現することが確かめられた。OCZFは、筋肉や他の組織においては高い発現はみられなかった。
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