研究概要 |
本研究ではOsteoclast zinc finger gene (OCZF)が、破骨細胞の分化のシグナル伝達にどのように関わるか解析した。 1)OCZFの破骨細胞の分化のシグナルにおける働き OCZFはマクロファージの転写因子Egr-1の転写を阻害する。ヒストンの脱アセチラーゼ阻害剤,であるtrichostatin A (TSA)はこの転写活性を阻害する。TSAやNaBを骨髄細胞やマクロファージの分化系に添加し、破骨細胞の分化に対する影響について調べた。TSAはマクロファージの分化には影響を与えないが破骨細胞の分化を特異的に阻害した。またこれらの薬剤は、破骨細胞のシグナル因子NFκBやp38MAPKの活性化に阻害した。Egr-1の発現を抑制すると破骨細胞の分化が促進されるので、これらの薬剤の標的遺伝子がOCZFによって制御され破骨細胞の分化に関わる可能性が考えられ現在解析を進めている。 OCZFのMKκB転写促進活性については、ゲルシフトアッセイの結果、OCZFによるDNA結合活性の増強は検出することができず詳細な解析には至っていない。一方、OCZFはODFの下流には細胞周期のインヒビター、cyclin-dependent kinase (CDK) inhibitor p21, p27の遺伝子の転写活性を強力に促進することが明らかになった。OCZFを発現するマクロファージ細胞RAW264と発現しない細胞を比較し様々なシグナル因子接着因子についてwestern解析やDNA microarrayにより解析を行った。 2)in situ hybridizationによるアジュバント関節炎ラットにおけるOCZFの発現の解析 アジュバント関節炎ラットを用いてOCZFの発現を解析した結果、破骨細胞や胚中心の周辺の細胞に高い発現がみられた。 3)OCZFと相互作用するシグナル分子の検索 RAW264からcDNAを単離しyeastのtwo-hybrid systemによりOCZFと相互作用する分子を明らかにすることを試みた。この結果を確かめるため、OCZFを誘導することにより高発現するマクロファージ細胞株を作成し、これらの細胞を用いて免疫沈降法により共沈する蛋白質を検索している。
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