研究分担者 |
小野 俊雄 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (80050607)
馬場 友巳 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (60189727)
田中 祺一郎 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授 (50001954)
小早川 健 長崎大学, 歯学部, 教務職員 (10153587)
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研究概要 |
ラット新生仔皮膚の創傷治癒過程ではコラーゲンとコラーゲン特異的分子シャペロンHSP47の過形成が起こりその結果瘢痕を生じる.しかしながら、胎生ラットでは瘢痕を生じず,その際コラーゲンのみならず,HSP47の発現も亢進しない.この新生仔ラットと胎生ラットのコラーゲンおよびHSP47の発現調節の違いは,環境因子によるものではなく,コラーゲンを産生する繊維芽細胞の性質そのものの差によるものであった.さらにこれらの研究の結果を元に,創傷治癒時の瘢痕形成を抑制する試みを行った.新生仔ラット背の創傷部位に1週間HSP47アンチセンスDNAの連日投与により,コラーゲン分子の蓄積,すなわち瘢痕形成が抑制された.つまりHSP47の発現抑制によってコラーゲンの過形成による瘢痕形成を抑制できるという可能性が示された. 生後1年のニワトリ腱は石灰化症状を呈するが,この過程におけるコラーゲンの役割を解明するために初期石灰化期の有機組織および硬組織を電子顕微鏡で観察した.石灰化前線において長径1.9nm、短径1.1nmの楕円体の石灰化構造物が生成し,それらがさらに融合して針状結晶物に変化していた.この構造物のサイズは同部位に見られるコラーゲン線維のピッチ2.8nmの波打ち構造とほぼ一致することから,初期石灰化楕円体の形成にコラーゲン線維の波打ち構造が重要な役割を果たすと考えられた. HSP90分子シャペロンは3つのドメイン構造からなる.このうちN末ドメインとミドルドメインと相互作用し,しかもHSP90のクライアント分子結合に関係していた.この2つのドメインの相互作用がin vivoでも重要であることを明らかにするために,N末ドメインと結合できないミドルドメイン(L477A/E517A)をもつHSP90(酵母HSC82)を酵母で発現した.その結果このHSP90分子のみを持つ酵母は高温度感受性となりこのドメイン間結合の重要性が示された.
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