研究概要 |
運動などによる骨へのメカニカルストレスの負荷は骨密度を維持・増加させ骨粗鬆症を予防する。メカニカルストレスの骨細胞への作用メカニズムが明らかにするために、ストレスに応答する遺伝子を検討し、次のような結果を得た。 1.骨細胞MLO-Y4-A2において、メカニカルストレスに応答して増加するCyclooxygenase-2遺伝子の転写調節領域および因子を同定し、その転写メカニズムを明らかにした。遺伝子の転写開始点の5'上流の領域において、NF-IL6,CREB, AP1などの転写因子がストレスに応答して機能していることが明らかになった。これはメカニカルストレスを感知するセンサーを探索するための直接的な指標なり、メカノセンサーのスクリーニングの道が開かれたことになる。(投稿準備中) 2.骨細胞MLO-Y4-A2において、メカニカルストレスに応答してPTH受容体が誘導されることを見いだし、その誘導メカニズムを明らかにした。PTH受容体はストレス負荷後、5時間〜7時間でmRNAを最大に誘導し、タンパクレベルでは13時間で最大とした。細胞内ではPTHの添加によってcAMPが上昇した。この誘導は転写開始点の5'上流領域を使ったルシフェラーゼ解析によると、誘導が転写レベルで制御されていることが明らかになった。これはPTHとメカニカルストレスの相互作用のメカニズム解明の手がかりとなり、骨粗鬆症治療への応用につながる。(投稿準備中) 3.メカニカルストレス負荷に応答する他のいくつかの遺伝子を同定した(Estrogen receptor α、CD44 antigen、ODF、いくつかの未知の遺伝子)。これらの遺伝子は骨代謝調節に関与している重要な因子であり、メカニカルストレスがもたらすシグナル経路の解明の手がかりとなる。現在、さらにこれらの遺伝子の解析を続けている。
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