研究概要 |
急性分離した三叉神経節ニューロンに穿孔パッチ法(Perforated patch-clamp)を適用しアドレナリンα_2受容体作動薬により三叉神経節ニューロンの興奮性が変調するか否かを解析した。生後6-14日齢のラットより三叉神経節ニューロンを単一細胞(直径、24.3±0.6μm)に分離後,実験を行った。電流固定下において、膜電位は-57.4±1.2mV(n=26),ほとんどのニューロン(72%)において、Clonidine(10-50μM)の投与により過分極性応答を示した。この変化はクロニジンの濃度依存性であり、膜入力抵抗の増加を伴っていた。Clonidineの効果は、より特異性のあるアドレナリンα_2受容体作動薬、UK14,304(10-20μM)により確認された。ClonidineおよびUK14,304による過分極性応答は、アドレナリンα_2受容体作動薬(Idazoxan,1μM)により拮抗された。一方、電流パルス(20ms,0.5-2nA)により誘発されるスパイク発火頻度は、Clonidineの投与により有意に抑制された。一方、電圧固定下において、過分極パルス(保持電位-60から-120mV)を与えて誘発され、I_h(Hyperpolarization-activated current)はClonidine、UK14,304投与により有意に減少した。この反応はIdazoxan,及び外液に加えたCs^+(2mM)により抑制された。ClonidineによるI_hの抑制率とI_hの特異的拮抗薬、ZD7288(20uM)投与により抑制率はほぼ一致した。 これらの結果より、三叉神経節ニューロンの興奮性は、アドレナリンα_2受容体の活性化により主に抑制され、その効果はI_hの減弱により発現することを示唆している。
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