研究概要 |
ペントバルビタール麻酔下の乳幼仔ラット(生後9-12日齢)を純窒素ガスに急性曝露し、吸入ガス濃度の変化とともに顎ニ腹筋と横隔膜の筋電図(それぞれdEMG, diaEMG)および体プレシスモグラフによる呼吸運動を同時に記録する系を確立した。現在までに観察されたことは以下の通りである。すなわち、1)吸入酸素濃度(%)の急激な低下(30秒以内に21%が5%以下に低下)に伴い、一過性の呼吸数増加後、呼吸運動、diaEMGとdEMG dischargeは停止した、2)さらに、その後も純窒素ガス投与を維持すると、呼吸運動とdiaEMG dischargeの停止が持続するなかdEMGにtonicあるいはphasicあるいは両者が混在したdischargeが出現した、3)その後、さらに無酸素を維持した例あるいは空気再投与による蘇生を試みた例では、乳幼仔期によく見られる呼吸運動(あえぎ呼吸)が起こり、それに同期して再びdiaEMGとdEMGの両筋電図にphasi dischargeが認められた。尚、現在まで(n=15)、無酸素投与中にdiaEMG dischargeのみが認められた例は無かった。 乳幼仔ラットでの測定系が確立したので、今後はさらに例数を重ね、特に無呼吸時と喘ぎ呼吸時のdEMGについて現象を分類し、さらに、離乳期から成熟期のラットについて同様の測定を行ない、生後発達における開口筋の役割について呼吸運動との関連から検討を加える。
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