研究概要 |
タキキニンの活性部位はC-末ペンタペプチドにあるが、その調節機構は非常に複雑である。それらは1)C-末のアミノ酸(M)とアド基である。2)8位(位置はウンデカペプチドの順位)にあるアミノ酸(F, Y, I, V)である。3)7位にあるアミノ酸(F,このアミノ酸は必須)である。これまでに発見されている天然に存在するタキキニンのアミノ酸数は10-12個のポリペプチドである。これらの生物活性は以下のことによって調節されている。1)C-末ペンタペプチドの活性の強弱。2)5と6位にあるアミノ酸の種類とそれらの組合わせ方。3)各タキキニンのN-末1と2位にあるアミノ酸。4)5,6及び8位にあるアミノ酸の種類とそれらの組合わせ方などにより規則的に調節されている。したがって、C-末ペンタペプチドの活性が強いときにはN-末のアミノ酸がひとつあるいは2つ切り取られたアミノ酸数の1-2個少ないタキキニンの活性が強い。逆に、C-末の活性が弱いときにはN-末のアミノ酸が活性を維持あるいは増強するのに必要である。N-末の1-4位にあるアミノ酸は、C-末にあるアミノ酸の場合と異なり、共通に存在する20個のアミノ酸も置換が可能である。NK2とNK3のレセプターとの結合部位はニューロキニン(NK)AとNKBのアミノ酸配列に特徴的な部位(6位)には存在しないと思われる。生物活性が最強と思われるノナペプチドの繰り返し配列を持った分子量の大きいポリペプチドの生物活性は増強されることはなかった。また、これまでの結果はL型のアミノ酸に関する成績であるが、D-型のアミノ酸でも類似の結果が得られる場合もある。今後検索する。
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