研究概要 |
B細胞のメモリー細胞への分化は、抗原とT細胞上の共刺激分子等による増殖機能獲得・体細胞突然変異・選択などの過程を経ておこる。メモリー細胞の形成は、自己免疫疾患・移植片拒絶・骨髄移植時の免疫寛容の破綻に大きく影響を及ぼす。CD19はB細胞初期で発現し、成熟B細胞では活性化制御補助受容体として働き、抗体産生細胞となると消失する。CD19シグナルは会合しているCD35やCD21架橋を介して伝わり、共刺激分子のB7-1やB7-2の発現誘導しT-B細胞間相互作用を増強する。本研究では大きく分けて(1)CD19のメモリー分化に及ぼす影響(2)CD19のユビキチン化とCb1-bによる制御機構の解明の2点から解析をおこない、いくつかの新たな知見を得たのでここに報告する。 1.B細胞上のCD19分子とBCRを架橋することにより、体細胞突然変異変異・クラススイッチに重要なAID分子の発現誘導が見られ、そのAID分子はヘルパーT細胞との共培養により増強され,た。その共培養B細胞はBcl familyのRT-PCR解析から、メモリーB細胞の表現型を獲得していることがわかった。 2.B細胞上のCD19分子とBCRを架橋または免疫マウスにおいて、Cb1-b分子依存性にCD19分子がプロテアゾーム(ユビキチン制御)により分解制御されていることが、Cb1-bノックアウトマウスを用いて明らかになった。そのCD19分子のプロテアゾームによる分解制御については、既に他の系で報告されているPI-3Kを介してではなく、ユビキチンが直接CD19分子に結合している結果を得た。CD19の活性化に伴うCb1-b-ユビキチン系によるシグナル制御はB細胞で今まで報告されていない新しい制御系である。
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