13年度では、予備実験である「シクロオキシゲナーゼ阻害剤による口蓋発癌抑制実験」について、交付科学研究費で購入された画像処理ソフトウェアを用いて数量的データーを得るなどして、第60回日本癌学会総会において発表し、今回の研究で行うラット口腔発癌惹起の方法の有効性、すなわち、20ppm 4ニトロキノリン1オキサイド水溶液を飲料水として投与する我々の口腔癌誘発方法では顎骨破壊を伴う口腔癌が60%のラットに発生できることを確認した。それに基づき平成13年10月より、F344ラットを用いて、20ppm濃度の4ニトロキノリン1オキサイド水溶液を飲料水として投与する口腔発癌実験を開始した。このラット口腔癌発癌実験によって生じた癌組織を材料として、14年度にはまず、細胞内水輸送に関わる分子であるアクアポリンの癌組織内局在を観察した。その結果、正常口腔扁平上皮の基底層細胞見られたアクアポリン3の局在が、扁平上皮癌胞巣の最外層細胞においては消失していることを見いだし、この新知見を第44回歯科基礎医学会学術大会にて発表した。他方、発癌実験で生じたラット口腔癌組織の培養を試みた。ラット舌癌組織・ラット口蓋癌組織を採取して培養したところ、培養開始から4ないし5ヵ月後に、2個の口蓋癌組織より、上皮様細胞のみからなる細胞集団が各々の組織より一つずつ、計2種得られた。さらに、顎骨吸収を伴わない舌癌に由来する培養細胞の特性と、顎骨破壊をきたす口蓋癌由来の培養細胞との特性を比較して、口腔癌増殖に伴う顎骨破壊との関連を解明するために、ラットと4ニトロキノリン1オキサイドを用いる舌癌誘発実験を今年度秋より開始した。今後は、舌癌由来培養細胞の株化と口蓋癌由来培養細胞の株化を行い、両株化細胞と脾臓細胞とハイドロオキシアパタイト上で、共存培養して、口腔癌と破骨細胞関連因子と関連を明らかにしていく予定である。
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