研究概要 |
薄膜ハイドロオキシアパタイトがコーティングされた対象物として、インプラント体を利用した。ビーグル犬に埋入する事が前提となるため、人体に応用するインプラント体を特殊加工し、犬の顎骨にあった大きさに工夫した。一方、そのコントロールとして、チタン単体のインプラントも同じように小さく加工したものを準備した。ビーグル犬の片側に異種のインプラント体を1個ずつ並行に埋入し、全麻下においてマイクロctによる同部のRawデータを収集した。現在、1,2,4,5,6週例のrawデータの収集に成功している。Raw dataを用いて三次元画像構築をした結果、2週例より顎骨本体、インプラント表面の両側から骨梁の造成が確認できている。現在さらに、週例数を増し、データの収集に取り組むことを予定している。と並行して、人体の顎骨内にも薄膜ハイドロオキシアパタイトコーティングのインプラント体を埋入した40本についての口内法ディジタル画像データを経時的に収集し、骨質の状態、とくに界面部の変化を経過観察している。本所見では、骨梁の新生像を認識することはできないのが現状であるが、少なくとも埋入直後から3,4ケ月までは骨密度の低下が認められ、その後、上昇する結果を得ている。チタン単体インプラントを対象とした従来の報告にあるような単純な骨密度変化ではないことが推定できる。骨体、薄膜ハイドロオキシアパタイト表面の両面からの骨梁の造成、ならびにその造成速度を裏付けるものと推定している。
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