研究概要 |
光重合型コンポジットレジンは、その審美性、操作性、歯質接着性、機械的性質により広く歯科臨床に用いられている。しかしながら、重合が急激に進むため、窩壁適合性が化学重合型レジンに比べ劣るという欠点を有している。 本研究では、種々の光照射法が光重合型レジン修復物の辺縁封鎖性、窩壁適合性ならびにレジン硬化物の重合挙動に与える影響を調べた。 牛歯唇側象牙質面に、円柱状窩洞を形成した。この窩洞を種々の接着システムを用いて光重合型レジンを填塞した。その後、NEW LIGHT VL-II (VL-II, GC)、ランプ電圧可変機構を有する光照射器のCo-bee (GC)と試作ランプ電圧自動可変型米照射器(EP, GC)を用い、VL'-Iによる従来法照射;700mW/cm^260秒間照射と、Co-beeによる出力漸増型光照射(以下Ramp照射法と省略);210mW/cm^2から700mW/cm^2に5秒間で上昇+700mW/cm^255秒EPによるStep照射法のSlow-start cursing法;270mW/cm^210秒インターバル5秒+600mW/cm^250秒の3種の光射法により重合硬化させた。これら試料に5℃と55℃の水中に各30秒ずつのサーマルストレスを500回与えた後、色素浸透試験を行った。これらの辺縁封鎖性ならびに窩壁適合性を、色素浸入部位の長さの窩縁または窩壁全長に対する百分率を算出評価した。一方、テフロンモールドで硬化させた光重合型レジン試片の奉面と底面のヌープ硬さを測定した。 その結果、Ramp照射法とStep照射法は、光重合型レジン修復物の辺縁封鎖性ならびに窩壁適合性を有意に向上させることが判明した。また、本照射法による窩底部レジンの重合促進効果が示された。
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