研究課題/領域番号 |
13672002
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
菅 俊行 徳島大学, 歯学部, 助手 (60243713)
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研究分担者 |
石川 邦夫 九州大学, 大学院・歯学研究院・口腔機能修復学講座・生体材料工学分野, 教授 (90202952)
川崎 有希子 徳島大学, 歯学部, 助手 (60294708)
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キーワード | フッ化ジアミンシリケート / フッ化ジアンミン銀 / サホライド / 象牙質知覚過敏症 / 象牙質透過性 / 走査電子顕微鏡 / 象牙細管 |
研究概要 |
現在、齲蝕進行抑制剤および象牙質知覚過敏症治療薬として用いられているフッ化ジアンミン銀(サホライド)は銀の沈着による歯質の変色が起こることからその使用は主に乳歯に限定され、永久歯に多用することは困難であった。そこで我々は、銀成分をシリカに置換したフッ化ジアミンシリケートを調製し、アパタイト粉末への結晶性および耐酸性に与える影響を評価した結果、選択的にフルオロアパタイトを形成し、優れた耐酸性効果を示すことがわかった。本研究ではフッ化ジアミンシリケートが象牙質知覚過敏症治療薬として有用かどうかを評価する目的で、象牙細管封鎖効果をサホライドと比較検討を行った。ヒト抜去大臼歯より象牙質プレートを調製し、酸処理を行うことにより、開口象牙細管を有する疑似知覚過敏象牙質プレートを作成した。このプレートにフッ化ジアミンシリケートを塗布し、水洗、乾燥後、走査電子顕微鏡により観察するとともに、Pashleyらの、方法に従い、象牙質透過性を測定した。また、象牙細管内に析出した結晶の組成分析をエネルギー分散型X線マイクロアナライザを用いて行った。フッ化ジアミンシリケート処理後には開口象牙細管は結晶性物質により完全に封鎖されており、象牙質透過性も著しく(89%減少)低下した。一方、サホライド処理後には開口象牙細管は封鎖されておらず、開口したままであった。フッ化ジアミンシリケート処理後に象牙細管内に析出した結晶性物質からはカルシウム、リン、シリカが検出され、シリカーリン酸カルシウム化合物が析出していることが明らかとなった。本研究の結果、フッ化ジアミンシリケートは歯質変色を起こすことなく象牙細管をシリカーリン酸カルシウム化合物で緊密に封鎖したことから、象牙質知覚過敏症治療薬としての有用性が示唆された。
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