研究概要 |
細胞外マトリックス(extracellular matrix;ECM)の分解において重要視されている酵素の1つがMMPsであり,MMPsとその共通の内因性阻害因子であるTIMPsのバランスの崩壊は,組織破壊の進行の重要なポイントとなっている。ほとんどのMMPsは不活性なプロ型酵素として細胞外へ分泌される。又、これまでに根尖性歯周炎関連細菌がMMP-1やMMP-9を活性化することは報告されているが,プロMMP-2の活性化およびTIMPsの不活性化についての報告はないので、本研究で検索する。 ◎TIMP-1活性の測定 精製TIMP-1と各SBEを反応させ,反応液中に残存するTIMP-1活性をMMP-1およびMMP-2に対する阻害活性として測定した. P.gingivalisのSBEは,TIMP-1のMMP-1阻害活性を低下させ,その残存阻害活性はコントロールの約10%となった.一方,F.nucleatumおよびP.endodontalisの各SBE添加群の場合には,TIMP-1のMMP-1阻害活性を低下させなかった. リバースザイモグラム法にてMMP-2に対するTIMP-1の阻害活性を検索した.コントロールに比べて,P.gingivalisSBE添加群の場合には,その活性バンドの著しい減少(MMP-2に対する阻害活性)を認めた.しかし,F.nucleatumおよびP.endodontalisのSBE添加群では,ともに何ら変化は認められなかった.
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