研究概要 |
本研究の目的は,脳卒中症における音声言語機能障害である麻痺性構音障害の主因である鼻咽腔閉鎖不全症の重症度を口蓋帆挙筋筋電図により評価できるかを検討し,さらにパラタルリフトの長期装着によって鼻咽腔閉鎖機能が受動的に変化し,さらにCPAP療法(鼻腔内陽圧負荷療法)等により運動療法の個別プログラムの構成が可能かを口蓋帆挙筋活動によって評価できるを検討することにある.この目的のために,平成15年度には以下の項目についての検討した. パラタルリフトとCPAPの併用療法開始後の鼻咽腔閉鎖機能の所見変化の確立 平成13年度,14年度における初診ならびに再診患者のうち,同意の得られた外傷性頭部障害で鼻咽腔閉鎖不全症を呈した1例について,パラタルリフト装着前後の筋電図所見,装着後にCPAPを2ヶ月間試験的に行い,開始前ならびに開始後の口蓋帆挙筋筋活動について検討した. その結果,パラタルリフト装着後の口蓋帆挙筋活動は,予備能の増大,口腔内圧との相関性が認められるようになり,聴覚印象による言語の評価では開鼻声の改善が認められるようになった.一方,CPAP後の鼻咽腔内視鏡所見は,1ヵ月後にABNQ,2ヵ月後にSBNAを呈するようになり,PLP-CPAP療法が有効であることが伺われた.これらのことから,今後は,効果のあった症例での筋電図所見を検討し,初診時,装着時,CPAP開始前での筋活動上の特徴抽出を行い,筋電図所見にもとづく適応基準の確立と個別プログラムの構成法を検討する.
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