研究分担者 |
田中 康弘 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (10217086)
久恒 邦博 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (20037526)
詫間 康子 長崎大学, 歯学部, 教務職員 (60160074)
三浦 永理 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (70315258)
|
研究概要 |
従来の歯科用金銀パラジウム合金に代わる新しいパラジウム無添加歯科用貴金属合金として全9種のAg-Au-Pt-Cu系合金を試作し,示差走査熱量分析により合金の液相点と固相点を調査するとともに,光学的性質と0.1%硫化ナトリウム水溶液中における耐変色性を分光測色計を用いて定量的に評価した。得られた結果を要約すると次の通りである。 1.液相点,固相点ならびに凝固温度区間 (1)Au含有量が一定の場合,Cu含有量の増加に伴って液相点ならびに固相点がいずれも低下するとともに,凝固温度区間(液相点と固相点の差)が狭くなった。 (2)Cu含有量が一定の場合,Au含有量の増加に伴って液相点ならびに固相点が上昇した。 2.光学的性質 (1)いずれの合金においても,分光反射率は長波長域では高いが,短波長域では吸収の影響を受けて,きわめて低くなるという特徴を示した。 (2)Cu含有量が一定の場合,Au含有量の増加とともに吸収端が長波長側に系統的に偏倚するとともに,長波長域における反射率が低下した。その結果,CIELAB色空間における黄-青方向の知覚色度指数b^*が,Au含有量の増加とともに増加した。この結果は,Au含有量の増加とともに合金の色調に黄色みが付与されることを示している。 3.0.1%硫化ナトリウム水溶液中における耐変色性 (1)Cu含有量が15at.%または20at.%に一定になるように制御された合金間の比較では,Au含有量の増加に伴って耐変色性が著しく改善された。 (2)変色の程度を示す色差ΔE^*値に最も強く影響する因子は明度指数L^*値の低下であることが分かった。
|