研究概要 |
平成15年度の研究では14年度に引き続き,光源と照射器の設計試作を行ない,技工特性に関連する物性評価も行った. 1.リフレクターの設計と試作:リフレクターの材質は金属,ガラスのどちらかが考えられるが,本研究で用いるリフレクターは光源から照射された光線のうち,不要な部分は透過し,有用な部分は反射するような構造を持つことを必要条件に設定した.したがって,金属ではなく,ガラスに金属酸化物をコーティングすることで所要性質を満たした. 2.光源の設計と試作:上記の条件に加えて発光管の電極間距離やリフレクターの曲率を変化させて光源であるランプを設計,試作した.本年度の研究により,歯科技工の現場に供するランプを完成させた. 3.光源の性能評価:試作した光源の特性を検討した.光源の波長分布は紫外線を主とした.照度,輝度は歯科材料の重合に十分と判定された.次に完成した光源を搭載した光線照射器を製作した.これを用いて歯科材料に光線を照射して硬化深度を測定した.その結果,試作照射器は多くの従来型照射器の性能を上回った.一例として試作光線照射器による歯科用複合材料の硬化深さ(mm)を以下に示す.比較対照は市販の光線照射器UXSである.試作照射器(QIII):市販照射器(UXS)で照射時間20,30,60,90秒の順.20s=2.00:1.24. 30s=2.13:1.55. 60s=2.50:1.95. 90s=3.04:2.26. 4.技工特性関連事項評価のため,異なる光線照射器で前装材シンフォニーを重合後,ヌープ硬さを測定した.その結果,専用光線照射器ではKHN=24,完成したQIII光線照射器ではKHN=40の値を示した.この結果から,試作した光線照射器の有効性が明らかになった.
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