研究概要 |
I.目的 オゾン水は強力な殺菌効果を有するにもかかわらず,最終的に水に分解するため人体や環境に対する影響が少ないと言われている.我々は,このオゾン水の特性に注目し,これまでに種々の口腔内細菌に対するオゾン水の殺菌効果について検討してきた.そこで今回,アクリルレジンプルートに付着した真菌,特に口腔内で検出されるCandida albicansに対して,どの程度オゾン水洗浄による殺菌および除菌効果が期待できるかを検討した. II.方法 被験菌株としてCandida albicans ATCC18804を用いた.実験用レジンプレート(15×15×3.0mm)は,加熱重合型アクリルレジン(アクロン,ジーシー)を用いて作製し,全面を#180の耐水研磨紙で研磨した.懸濁した実験用菌液200ml中に静かに浸漬し,37℃,2時間培養して,C.albicansをレジンプレートに付着させた.オゾン水の生成には,オゾン水生成器(ネオ・オゾンウォータS,シルバー精工)を使用した.オゾン水による洗浄は,単純浸漬と市販義歯用超音波洗浄器を用いた超音波洗浄に分けて行い,滅菌生食水をコントロールとして比較した. III.結果と考察 実験用菌液に浸漬したレジンプレートを実験開始前に繰り返し洗浄や超音波洗浄を行うことで,殺菌効果は有意に増強された.またオゾン水の殺菌効果は時間依存的に向上する傾向が認められた.この結果から,従来から報告されているように超音波洗浄器の使用がオゾン水においても,その殺菌効果を増強させることに有効であることがわかった.さらにオゾン水の殺菌力を効果的に発揮させるためには,オゾン水を作用させる前の義歯の水洗や超音波洗浄が有効であることが示唆された.
|