研究概要 |
オッセオインテグレーテッドインプラントを利用した顎顔面補綴は、その有用性が数多く報告されている。しかし、放射線照射後の骨組織に対するインプラント埋入を行う場合、骨/チタン界面に対する放射線照射の影響を検討する必要がある。今回、骨芽細胞が発現するストレスタンパク質(HSP)に注目し、骨芽細胞に影響を及ぼす線量を検討した。 wister系ラットより骨髄細胞を採取、α-MEMにて6日間培養後、各線量の放射線照射を行った。線量は40m,400m,4000mGyとした。7日目にチタン板上に細胞を播種した。各線量とも24時間培養後に細胞を回収しRNAの分離を行い,その後PCRにてHSP90α、HSP90β、HSP47の発現をmRNAレベルで検索した。 その結果、HSP9OαのmRNAに関して40mGyの放射線照射ではHSPは発現せず、400、4000mGy照射で発現が確認できた。HSP90βでは40、400mGy照射では発現せず、0,4000mGy照射で発現が確認できた。HSP47に関しては、0,40mGyの放射線照射ではHSPは発現せず400、4000mGry照射で発現が確認できた。さらに線量増加に伴い発現が強くなっているのが確認された。線量と発現の強さに相関がある可能性があり、HSP47は今回の実験のパラメータとして有用であると考えられた。 平成13年度は、骨芽細胞のmRNAレベルでの放射線照射によるストレスタンパク質発現を確認し、骨芽細胞のHSP発現に影響を及ぼす線量が400mGyであることを解明した。平成14年度は、これをもとに放射線照射された骨芽細胞の材料上での動態、初期石灰化の過程を詳細に解明する。
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