研究概要 |
頭蓋下顎障害(TMD)と情動ストレス,性ホルモンとの関係を明らかにする目的で,TMD患者20名における精神内分泌反応とエストロゲン分泌量について分析した.結果は以下の通りである. 1.TMD患者の情動ストレスを表す指標値(血漿アドレナリン,血漿ノルアドレナリン,血漿ドーパミン,血清コルチゾールの各濃度と尿中アドレナリン,尿中ノルアドレナリン,尿中ドーパミン,尿中17-OHCSの各排泄量)は,いずれも正常値よりも高く,尿中17-OHCSを除く各指標において,TMD患者群と正常値との間にそれぞれ有意差が認められた.TMD患者の性ホルモンを表す指標値(血中エストロンと血中エストラジオールの両濃度と尿中エストロン,尿中エストラジオールの各排泄量)は,いずれも正常値よりも高く,TMD患者群と正常値との間にそれぞれ有意差が認められた. 2.情動ストレスと性ホルモンとの関係 情動ストレスを表す各指標値は,性ホルモンを表す指標値が高くなるに従って,高くなり,血中エストロン濃度と血漿アドレナリン濃度,血漿ノルアドレナリン濃度,血漿ドーパミン濃度との間,血中エストラジオール濃度と血漿アドレナリン濃度,血漿ノルアドレナリン濃度との間,尿中エストロン排泄量と尿中アドレナリン排泄量,尿中ノルアドレナリン排泄量との間,尿中エストラジオール排泄量と尿中アドレナリン排泄量,尿中ノルアドレナリン排泄量,尿中ドーパミン排泄量との間にそれぞれ有意な正の相関が認められた. 3.これらの結果から,頭蓋下顎障害患者の精神内分泌反応を表す各指標値とエストロゲン分泌量は,いずれも正常値よりも増大する傾向を示し,TMDと情動ストレス,性ホルモンとに関係があること,また頭蓋下顎障害患者の情動ストレスは,性ホルモンと密接な関係にあることが示唆された.
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