下顎等尺性水平力測定用装置の設計、開発を行い、この装置を用いて等尺性水平力発現時の下顎力と外側翼突筋下頭からの筋電図活動を同時記録した。被験者は8名で各被験者に筋電図導出側の対側(CL)への押し出し運動を行わせた。荷重はトランスデューサーからの出力を被験者自身がモニターしながら、それぞれ400gfから800gfまで100gf毎の荷重を5sずつ連続させて行わせた。得られたデータより、信頼されうる21個のユニットをピックアップできた。これら21ユニットの平均発火頻度は力の増加とともに有意に増大する傾向を示した(repeated measures : P<0.0001)。うち、2個のユニットは力の出力onsetに先立って発火した。21ユニットをtonicなパターン(T)、phasicなパターン(P)、その中間型(I)に分類した。T型は400gfから800gfまで全ての相で連続的に活動するユニットで10ユニット(48%)、P型はdynamic phaseに発火し力を保持しているときにはまばらな活動を示すユニットで7ユニット(33%)、Iユニットは4ユニット(19%)であった。定量的な比較ではP型はT型よりも振幅が有意に大きかった。また、T型のユニットは等尺性力の小さなゆれに微妙に反応し、密接な一致を示した。続いて、筋電図導出側の同側側方(IL)、前方(P)、CLとPの中間(CL-P)、ILとPの中間(IL-P)の方向への等尺性押し出し運動で同じように400gfから800gfまで100gf毎の荷重を5sずつ連続させて筋活動を観察した。その結果、21ユニットの平均発火頻度は運動方向の違いにより有意に変化し(P<0.001)、CLで最も頻度が高くCL-P、P、IL-P、ILと方向が変わるに従い漸減する傾向を示した。これらの結果より、外側翼突筋下頭は対側への下顎等尺性押し出し時に重要な役割を果たすことが明らかとなった。
|