研究課題/領域番号 |
13672091
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
梅田 正博 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (60301280)
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研究分担者 |
小松原 秀紀 神戸大学, 医学部附属病院, 医員
横尾 聡 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (00322206)
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キーワード | 腺様嚢胞癌 / 高転移株 / 動物実験モデル / 唾液腺癌 / 化学療法 / 転移抑制 |
研究概要 |
頭頸部に発生した腺様嚢胞癌(ACC)は遠隔転移の頻度が高く、治療成績向上のためには転移の制御が必須であるが、これまで適切な動物実験モデルがなかったため、転移抑制に関する研究の報告はほとんどみられない。本研究はヒト腺様嚢胞癌の動物における転移モデルを作製し、転移を抑制しうる治療法を開発することを目的としている。 これまでの研究実績は以下の通りである。 1)ヌードマウス可移植性ヒトACC株(KOA-1)を樹立した。本株の組織像はsolid patternのACCを示し、採取元患者と同様の所見であった。 2)KOA-1をマウス皮下に移植すると、2か月後から微少肺転移を生じ、3か月後には組織学的検索では約30%、βグロビン遺伝子を用いた遺伝子診断法では約50%のマウスに転移を確認できた。 3)KOA-1移植後、血液中からもβグロビン遺伝子を用いた遺伝子診断法により癌細胞を検出できた。 4)KOA-1皮下移植後に生じた肺転移巣を別のマウスに移植、これを3回繰り返す(in vivo selection法)ことにより、倍加時間の著しく短い高悪性株(KOA-1L3)を分離することに成功した。 5)KOA-1L3をマウス皮下に移植すると、1週後にすでに肺転移を生じ、4週後にはほとんどのマウスは死亡した。 6)KOA-1皮下腫瘍に対してpirarubicin、docetaxelは無効であったが、CDDP、5FUは一定の抗腫瘍効果を示し、両者の併用(CDDP+5FU)は最も抗腫瘍効果が高かった。 7)KOA-1皮下移植、生着後にOK-432を投与すると、皮下腫瘍に対しては抗腫瘍効果はみられなかったが、転移形成が抑制される傾向を認めた。
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