研究概要 |
われわれは、Spectral Karyotyping(SKY)法を用いてヒト口腔扁平上皮癌の染色体構造異常の解析をすすめている. 2002年10月31日第47回日本口腔外科学会総会(札幌市)にて「SKY法による口腔扁平上皮癌染色体構造異常の解析」を発表した。その結果、同材料を使用したComparative Genomic Hybridization(CGH)法で高頻度に認められた増加領域はSKY法では多数他染色体箇所へ転座、挿入を示していた。なお、高頻度減少領域は、欠失、monosomyを示していた。また多種の派生染色体が認められた、特に4番染色体のmomosomy、5番短腕の他多数箇所に転座、挿入、増加を認めた。また、共通高頻度派生染色体(全染色体標本の60%以上)としてder(1)(9;11;1),der(3)(6;3;6),der(13)(5;13;5)が認められた。これらの染色体構造異常が口腔扁平上皮癌の発生、進展に関与している事が示唆された.しかし、本報告は口腔扁平上皮癌細胞株を対象とした結果である。そのため長期培養経過からもたらした染色体構造異常の蓄積である可能性も考えられる。本年度より、染色体標本作製において固形腫瘍では非常に困難であるが、口腔扁平上皮癌生検標本の短期培養細胞を対象としSKY法による解析を行い、上記報告の口腔扁平上皮癌の染色体構造異常の信頼性を高めることに務めて行きたい.
|