研究課題/領域番号 |
13672101
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
外科系歯学
|
研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
中西 宏彰 徳島大学, 歯学部, 助手 (00243717)
|
研究分担者 |
里村 一人 徳島大学, 歯学部附属病院, 講師 (80243715)
|
研究期間 (年度) |
2001 – 2002
|
キーワード | レプチン / 内軟骨性骨化 / 血管新生 / ob / obマウス / db / dbマウス / 骨折治癒過程 / fracture healing |
研究概要 |
分子量16kDaのレプチンは主に白色脂肪細胞より産生・分泌され、視床下部にあるレプチン受容体を介して摂食抑制、体脂肪減少などの抗肥満作用を有しているホルモンと考えられてきた。近年、レプチンが胎盤、胎児の骨・軟骨、骨格筋など脂肪組織以外からも産生・分泌され、造血機能や生殖機能に影響を与えるなど、肥満抑制作用以外にも多彩な作用を示すことが報告されている。また、レプチンが骨形成に対しても何らかの生理的作用を有している可能性を示唆する報告もあるが、骨組織におけるレプチンの局在およびその役割については解明されていない。そこで、本研究では内軟骨性骨化過程におけるレプチンの役割を明らかにすることを目的に、細胞生物学的検討を行った。 得られた結果は、以下の通りである。 1)生後1週齢、雄性ICRマウスの大腿骨の二次骨化中心および成長板の新生血管に近接する肥大軟骨細胞および骨芽細胞に強くレプチンが発現していた。また、マウス軟骨細胞株(MCC-5)およびマウス骨芽細胞株(MC3T3-E1)がレプチンを産生・分泌することを確認した。 2)ヒト血管内皮細胞(Huvec)には機能的レプチン受容体が存在していた。また、Huvecの増殖能、遊走能、管腔形成能およびMMP-2活性はレプチンにより有意に促進された。 3)db/dbマウス(レプチン受容体欠損マウス)の大腿骨の長さは正常型マウスに比較していずれの週齢においても約13%短く、また二次骨化中心への血管侵入も約2日遅延した。 4)生後5週齢ICR雄性マウスの右側第8肋骨を骨折させ、その治癒過程におけるレプチンの発現をRT-PCRおよび免疫組織化学的手法で検索した。骨折治癒に伴い、レプチンの発現は徐々に上昇し、骨折治癒部に形成された軟骨へ血管侵入が認められる時期(骨折後14日目)に最高値を示した。その後、骨折の治癒に伴い、骨折前の発現レベルまで低下した。 5)レプチン欠損マウス(ob/obマウス)およびレプチン受容体欠損マウス(db/dbマウス)の骨折治癒過程を正常型マウスと比較検討したところ、骨折治癒部に形成された軟骨から骨への置換時期が遅延されていた。 以上のことより、内軟骨性骨化において、レプチンが血管新生を活性化することにより、骨格成長を促進していることが示唆された。さらに、レプチンが骨折治癒を促進している可能性も示唆された。
|