本研究は、パパニコロウ染色を行った口腔癌細胞診標本を画像解析し、核面積変異係数を指標として、口腔癌の頸部リンパ節転移の予測法を確立することを目的に実施した。 まず、既に当科で手術を行った舌扁平上皮癌症例30例の初診時細胞診標本を画像解析し、核面積、周囲長、円形度、針状比、核面積変異係数をコンピュータ上で算出し、頸部リンパ節転移の有無、レベル、個数などをretrospectiveに検索した。その結果、核面積と周囲長はリンパ節転移症例で大きく、円形度はリンパ節転移症例で小さく、針状比はリンパ節転移症例で大きい値を示した。さらに、核面積変異係数はリンパ節転移症例で大きい値を示した。これらはいずれも統計学的有意差を示し、本手法がリンパ節転移の予測法の一助となることが示唆された。 現在は、舌扁平上皮癌新鮮症例において同様の検索を行い、頸部リンパ節転移の有無を予測し、適切な頸部郭清術の選択に役立てるべく、症例数を増やしているところである。 以上の研究実績は、すでに国内学会で数回にわたって発表し、現在欧文誌に投稿中である。
|