平成13年度は、「顎関節症患者に対する下行性疼痛抑制系機能の解明」のため、まず正常者の駆血帯疼痛試験前後の疼痛閾値の変化を、右咬筋中央部の三叉神経第三枝領域皮膚に加えた一定の各種感覚刺激および侵害刺激の閾値を治療前後で比較した。その結果、特にc-fiber mediatedな刺激を有意に抑制することが分かった。しかしながらフラセボ効果も否定できないため、下行性疼痛抑制系機能を賦活するとされる直線偏光赤外線の星状神経節近傍照射が、各種侵害刺激に対して真に痔痛閾値を下げることができるのか否かを、フラセボ器を用いた二重盲検法で行った。その結果、本法はフラセボ効果があるものの、c-fiberによる刺激を有意に抑制することが分かった。この結果は、第33回日本口腔科学会九州地方会(長崎)で口演報告した。 次いで顎関節症患者に対する下行性疼痛抑制系機能の解明のため、上記と類似のプロトコールを用いて、右咬筋中央部の三叉神経第三枝領域皮膚に加えた一定の各種感覚刺激および侵害刺激の閾値を顎関節症患者/正常者、実効器/フラセボ器、照射前/照射後で疼痛閾値間で比較した。その結果、実効器およびフラセボ器の両群とも照射前後および冷刺激の疼痛閾値に有意差があった。患者/コントロール間では患者群の痛みがより抑制される傾向にあったが両群間に有意差はなかった。直線偏光赤外線の星状神経節近傍照射は、正常者および顎関節症患者の両群に対し、フラセボ効果があるものの、c-fiberによる刺激を有意に抑制することが分かった。本結果は本年7月の日本顎関節学会総会(東京)で報告予定である。
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