研究課題/領域番号 |
13672110
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
桐田 忠昭 奈良県立医科大学, 医学部, 助教授 (70201465)
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研究分担者 |
杉村 正仁 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (20028749)
大西 武雄 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (60094554)
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キーワード | 分子シャペロン / グリセロール / 放射線 / 温熱 / 抗癌剤 / アポトーシス / p53 |
研究概要 |
【目的】本研究では、変性した蛋白質構造を正常な蛋白質構造に戻す働きがあるとされる分子シャペロン(グリセロール)を用い、変異型Pp3蛋白質に正常型p53蛋白質の正常機能を回復させることにより、効率のよい放射線による癌治療の開発を目指した。【方法】変異型p53を持つヒト口腔扁平上皮癌細胞株Ca9-22(codon 248,Arg→TrP)を用いた。グリセロール処理は放射線および温熱処理の2日前に培地に添加した(最終濃度0.6M)。コロニー形成法でX線感受性を測定し、アポトーシス関連タンパク質の定量をWestern Blot法で、アポトーシス誘導をヘキスト染色法及びDNA ladder検出法で解析した。【結果】1.グリセロールによりCa9-22細胞のX線感受性が増感を示すようになった。2.X線単独照射の場合、Baxの蓄積誘導はほとんど見られなかった。3.グリセロール処理によりX線によるBaxの蓄積誘導が見られるようになった。4.X線単独照射の場合、DNAラダーは見られないがグリセロール処理を併用した場合、DNAラダーが認められた。温熱の場合はグリセロールによる感受性の増強効果は見られなかった。【考察】グリセロールを介した変異型p53蛋白質の活性回復により、X線処理後にBaxを介したアポトーシスが誘導され、感受性が増強されることが示唆された。【結論】変異型p53を保有する癌患者に対しては分子シャペロン治療を併用した放射線治療が有効であることが培養細胞系で示唆された。
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