研究課題/領域番号 |
13672111
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
藤田 茂之 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (50228996)
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研究分担者 |
尾崎 晴美 和歌山県立医科大学, 医学部, 助手 (10336894)
松平 淳 和歌山県立医科大学, 医学部, 助手 (00285404)
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キーワード | 顎間節内障 / 家兎 / 顎間節円板 / プロテオグリカン / 低酸素 / 1L-1Β / MMP / ケラタン硫酸 |
研究概要 |
【目的と方法】 我々は、これまで行った顎関節内障の研究結果から、顎関節に加わる過度のメカニカルストレスとそれによる関節包内の低酸素状態が、滑膜細胞や関節円板の軟骨細胞からのサイトカインの放出を誘導し、滑膜の増生と関節円板の変形という顎関節内障の病態を形成しているのではないかと考えた。この仮説をIn vitroで検証するため、家兔の顎関節円板を培養し、低酸素環境での関節円板の細胞の代謝を分析し、顎関節の細胞外基質、特にプロテオグリカンの合成や分解の動態について解析を計画した。まず、家免の顎関節円板を無菌的に切除し、トリプシン、コラゲナーゼによる酵素処理にて線維軟骨細胞を分離、低酸素濃度培養用CO_2インキュベーターを用いて低酸素環境下における細胞外基質の合成や分解の動態をRT-PCR法やELISA法等の解析法を用いて分析した。また、IL-1βを添加し、炎症性サイトカインによるNOやMMPの誘導と低酸素環境の関係を分析した。 【結果】 IL-1β(1ng/ml)存在下では低酸素環境でNOの合成酵素であるiNOSのmRNAの発現が増強すること、さらにMMP発現が増強し、TIMPの変化がないことがRT-PCRにて確認された。MMPとTIMPのバランスから、顎関節円板細胞は低酸素環境になると細胞外基質の分解に代謝が傾く可能性が示唆された。この結果は、これまで報告されている顎関節内障の臨床データ、in vivoでの実験データを支持し、顎関節内障の病態についての上記の仮説を裏付けるものであると考えられる。さらに、培養上清中のケラタン硫酸の定量をELISA法にて行ったところ、低酸素環境では常酸素に比較して培養上清中のケラタン硫酸が低下する傾向が認められた。この結果をさらに解析中である。
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