研究課題/領域番号 |
13672114
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研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
武藤 寿孝 北海道医療大学, 歯学部, 助教授 (00143298)
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研究分担者 |
賀来 亨 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (60133253)
矢嶋 俊彦 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (10018749)
川上 譲治 北海道医療大学, 歯学部, 助手 (20244858)
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キーワード | 顎関節 / 過剰開口 / 滑膜炎 / ラット / 早期反応 / 光学顕微鏡的観察 / 電子顕微鏡的観察 |
研究概要 |
平成14年度はラット実験的顎関節滑膜炎の電子顕微鏡所見をまとめ、これを英文で投稿し、受理された(Journal of Oral Pathology & Medicine 32 : 25-33, 2003)。 また平成14年度後期より、外傷性滑膜炎の発症機序および癒着機序を解明するためにさらに早期の滑膜組織の反応を検索した。実験方法はすでに述べた方法と全く同じである。 その結果、ラット顎関節および周囲組織に以下のような変化が認められた。反復的強制過剰開口により関節周囲組織が過度に伸展されることにより、初期には側頭筋と滑膜に外傷性炎症が発症した。すなわち、1日の処置では側頭筋内に炎症性細胞浸潤が起こり、滑膜内膜下層のコラーゲン組織が断裂し、上関節腔内にはフィブリン様物質の滲出がみられた。3日間の処置後には側頭筋膜深層筋膜と顎関節外側の滑膜内膜下層に細胞浸潤が見られ、上関節腔内にはフィブリン様物質が存在していた。引き続き、5日、7日、10日と同様の刺激を連日加え続けたにもかかわらず、炎症は単調増悪傾向を示さず、逆に早期に修復過程に入ったことが示唆された。すなわち、側頭筋に細胞浸潤は見られず、滑膜内膜下組織のコラーゲン繊維は対象と同様な状態となっていた。一方、滑膜表層細胞は増加し、関節腔内に滲出したフィブリン様物質を活発に貪食している所見が得られた。10日間の処置が終了し、外傷性刺激が除かれた後、5日目の所見では関節腔内にはフィブリン様物質が見られるものの、滑膜内膜下組織や滑膜表層細胞の状態は対照の顎関節とほぼ同様であった。 以上のことから、下顎頭の過剰運動により惹起された顎関節外傷性滑膜炎では、初期の漿液性炎発症と早期の修復機転が生じ、一時期、両者が並行して進行することが示唆された。この内容については、ちかじか論文にする予定である。
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