コネキシン26(Cx26)は、ギャップ結合と呼ばれる細胞間チャンネルを形成する構造体の1つで、メラノーマ細胞では転移を促進すること、また、転移度の高い肺癌細胞では、コネキシン遺伝子の転写が亢進し、本遺伝子と肺癌細胞の転移との関連が指摘されている。われわれはすでに昨年、口腔扁平上皮癌の未治療生検材料よりRNAを抽出し、RT-PCR法により口腔扁平上皮癌におけるCx26遺伝子の発現状態を明らかにし、それらと臨床病理学的所見と比較検討を行い、本遺伝子は口腔扁平上皮癌においても転移と関連することを報告した。今年(H14年)度は、これらの点をさらに明らかにする目的でin vivoにおける検討を以下の通りに行った。 1.方法 (1)OSC-20細胞におけるCx26遺伝子の発現の有無について検索する。 (2)ヌードマウス(♂、6W)の舌にOSC-20細胞を移植し、リンパ節転移ならび肺転移の有無とCx26遺伝子との関係について検討する。 2.結果 (1)OSC-20細胞にCx26遺伝子の発現はみられなかった。 (2)ヌードマウスの舌にOSC-20細胞が移植され、発癌が確認された舌癌組織にCx26遺伝子の発現が確認された。 (3)リンパ節転移、肺転移の有無とCx26遺伝子の発現に関連が認められた。 3.考察 以上より、口腔扁平上皮癌においても、Cx26遺伝子が間葉系組織と関連して癌転移になんらかの影響をおよぼしていることが示唆された。
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