Eugenol(EUG)によるHL-60細胞の細胞毒性およびアポトーシス誘導の過程におげるSOD分子種のmRNAの発現とEUGの酸化的触媒効果を抗酸化物質を用いて検討し、以下の知見を得た。 1.EUGによるSOD分子種のmRNAへの影響 RT-PCR法で発現を調べたところ、2mM(この系のCC_<50> 0.38mM)で発現低下を示し、それ以上の濃度でのmRNAの抽出は困難であった。また、酸化により1mM以上でMn、Cu/ZnSOD mRNAの顕著な発現低下を示したが、0.5mM以下の濃度では影響は受けなかった。 2.抗酸化物質によるSOD分子種のmRNAへの影響 SH基含有抗酸化物質(各10mM)のグルタチオン(GSH)、システイン誘導体(NAC)の添加はEUGのMn、Cu/ZnSOD mRNAの発現を低下させたが、エチルエステル型GSH(GSHee)の添加では低下しなかった。 3.抗酸化物質による細胞障害性への影響 トリパンブルー色素排除試験で細胞障害性を調べたところ、EUG(2mM)はHL-60細胞の生細胞数をわずかに減少させたが、GSH、NAC、GSHee (各10mM)の添加はEUGの細胞障害活性を有意に促進させ、特にGSHeeで著しかった(2h後)。 4.ペルオキシダーゼによるSOD分子種のmRNAへの影響 ペルオキシダーゼ添加はEUGが細胞死誘導を発現させる初期過程でMn、Cu/ZnSOD mRNAの発現を増進させた。以上のことから、EUGは各種癌細胞にprooxldantとして作用することが示唆された。
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