研究概要 |
日本白色系雄性家兎を用い、大腸菌O:14とFreundの不完全アジュバントで前感作した。対照群は、生理食塩水に続いて精製水で潅流を行った。実験群は、左側顎関節下腔に生理食塩水で潅流後に大腸菌O:14と精製水を潅流注入し、7、14、21、28、35および56日目に屠殺し病理組織学的に観察した。Stainbrockerの分類、Larsenの分類、Arthurの分類および天児による分類を基に新たな評価法を考案し、スコアによる比較検討を試みた。 その結果〔対照群〕病理組織学的には、逐日的に軟骨組織がやや菲薄化していたが基本的構造に変化は認めなかった。スコアについてはすべての期間でClassOであった。〔実験群〕病理組織学的には、7日目に急性の滲出性炎症所見を、14日目にはパンヌスの増生により軟骨組織は破壊され、21日目には骨にまで破壊が進行し慢性期への移行する所見を示し、28日目にはさらに組織の破壊は進行しマクロファージ、形質細胞、リンパ球の濾胞様集簇、パンヌスの形成を認め慢性関節リウマチに特有な所見を示す最盛期を認めた。その後は治癒へと向かった。スコアについては上記と同様に関節破壊は進行し、28日目には3,00±0,00と最高値を示した。 この経過は、人における顎関節の病態変化を再現しており慢性顎関節リウマチの病態解明ならびに今後の治療法考案に対して有用性を認めた。さらに現在MMP-3、Osteopontinについて追加検索中である。
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