研究概要 |
ラクトシュークロースは、腸内の有用細菌によって分解され、整腸作用のある三糖である。研究代表者らは、口腔レンサ球菌であるS. mutansやS. sobrinusには代謝されないが、その他の口腔レンサ球菌であるS. sanguis, S. oralis, S. gordoniiには代謝されることを明らかにしてきた。また、口腔内に生息するアクチノマイセスでは、A. odontolyticus ATCC 17982, A. naesulundii ATCC 12104, A. viscosus WVU627, ATCC 15987によって代謝されることを明らかにした。 培地中にグルコース、フラクトース、スクロース、ラクトースを加えてA. odontolyticus ATCC17982を培養すると、ガラクトースが最も資化される速さが遅く、残りはほぼ同等の速さで資化された。ラクトシュークロースを糖源として加えて培養すると、培養上清には二糖はほとんど出現せず、単糖もガラクトースのみが遊離してくることから、この菌はラクトシュークロースをβ-galactosidaseで分解して資化する可能性が示唆された。この酵素活性は0.04umol/mg/mim(グルコース培養時)であったが、ラクトシュークロースで培養すると活性はゆっくりと増加し、2時間後には5倍になった。一方、S. Oralisでは、0.08umol/mg/mim(グルコース培養時)であった活性が、30分で6倍になった。アクチノマイセスも口腔レンサ球菌と同様、β-galactosidaseを誘導的に持っているが、誘導の程度は口腔レンサ球菌と比べると、はるかに時間がかかり、なおかつ活性の増大も小さいことがわかった。
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